アドレスを変えている事。
それは二股はしないという誓いの証明。
俺はそう思っている。

それを拒否されると俺は二股の記憶を思い出し、
彼女が二股したがっている、二股しているのでは！？
とまで考えてしまう。

本当にどうしたら良いのだろう。

早朝〜朝
昨日の裏切りを許しながらも彼女と別れた。

5時頃、目が覚めると携帯には一通のメール。

「●●のこと好きやけど、好きじゃなくて・・・
ごめん、この先変われるかもやけど、
ナミはやっぱりタケルのことも好きで・・・。
めっちゃワガママなんはわかるけど
ナミとちょっと時間置いて欲しい。」
これは彼女からのメールの一部分（要点）だ。

俺は時間を置くということが事実上の別れであることを悟っていた。

愛して・・・
それでも裏切ったり約束やぶられたりして、
二股すらかけられてて・・・
（俺と付き合って以来、遊ぶことすらしていないが。※元々彼女は忙しい）
俺はタケルとより戻すまで中心の存在で・・・。

昨日の日記に書かなかったけど、
彼女の手帳には、タケルへの想いとかタケルからtelがあったとか・・・
タケルのことばかり書かれた最後に「●●なんてもういらんし」と書かれていた。

その一言は俺が何かして、何かに腹立てながら書いたのか、
「タケルがいれば、●●なんて用無しじゃ！」
と悪女ぶりを晒して書いたのかわからないが、手帳には本心を書いているはずだ。

前者にしろ、後者にしろ。

彼女の想いは既に俺に無かったのだろう。

人間虚しいと妙に喋りたくなる物かもしれない・・・。

昨日も今日も日記に書きたくない事を沢山書いている。

俺、無様だ・・・。

人を愛して裏切られる事がこんなに苦痛やとは思いもしなかったよ・・・。

昨日の件でナミとある約束をしていた。

でも、ある約束を破る内容のメールの最後に
この日記の最初に書かれた彼女の一言が書かれていた。
約束をまた破ったのだ・・・。

「約束を守ってもらえなかったら、別れよう。」
と思っていただけにこの別れは仕方なかったのだろうと思う。

もう耐えられない。

何度も裏切りやがって・・・
　　人の心踏みにじりやがって・・・。

ほんま最悪。
ナミなんて大嫌いや。

でも・・・ほんとはこんな自分が嫌いで、ナミをまだ好きな自分がいる。

昼前〜夕
学生が学校の用意を始める時間になって、彼女から返信が来た。
俺は思い切って正式に別れを告げた。

・・・メールすればするほど、涙がこみ上げてくる。

メール内容はあまりにも恥ずかしいので省略させてもらうが、
「今まで有難う、お前にあえて良かった」と言う内容である。

自分で読んでいても泣く内容だったが、ナミも泣いたらしい。

彼女によると、タケルが九州に居るのは、本当らしく、
俺に言われたからではないけど、けじめをつけるために、
タケルに「ナミの事どうおもってるん？」って聞くそうだ。

これで悪い答えが出れば、
「ナミは俺のところへ戻ってきてくれるのではないか」
という期待を持ってしまい、俺は悪い人間な気がしてならない。

ナミは学校に居る間、メールを送ってこない。
分かりつつも返信が来ることを期待する俺。

俺の通う学校では今日はテストなので、
三時間だけで学校は終わった。

俺は家についてから、服を着替え、
ぶらぶら出かけたが、そうしている間も、
街をぶらぶらするのをやめて家でごろごろしている間も、
ナミのことばかりで頭がいっぱいであることに気付いた。

常に携帯をチェックしている。

朝飯も昼飯も食っていない。
食事も喉を通らないと言うのはこの事か。と思った。

何も食べていないのに、吐き気が止まらない。
何もせず、ダラダラしているだけなのに、突然吐き気に襲われる。

身体が心の支えを失った事を実感しているのだろうか。

まるで生きていないようだ。
何もしたくない、何も喋りたくない、親に話しかけられるのは前から嫌いだが今日は一段とうざく感じる。

もちろん、何も考えたくない。

・・・しかし、こんな状態でもナミのことだけは考えている。

俺・・・こんなにあいつが好きだったんだな。

愛しているとは思っていたし、実際大好きだった。
しかし9/4の日記で述べられているよう、
最近、想いが曖昧になっていた。

でも、今日は本当に「こんなにあいつが好きだったんだな」って素直に思った。

そして気付いた気がする。
「彼氏彼女の関係で居れるだけで幸せだった」

ナミと付き合っている時、会っている時は、
どうしても「身体をさわりたい」とか、そういう念に襲われていた。

だが、失って、気付いた。
「身体なんてどうでもいい・・・あいつが大事なんや」って。

心にぽっかりと穴が空いたようだ。

失恋とは、こんなに絶大な影響を人間に与えるのか・・・？
こんな日々がこれからも続くのか・・・？

ありえない・・・。

何よりもきつい拷問のように俺は感じている。

・・・かすかな期待。
タケルとの話し合いによっては見えてきそうなこの光に祈っている。

夜〜
ナミは、タケルに電話する必要がなくなったといった。

俺には何のことかわからなかったし、
ナミがタケルに本心を聞く事を恐れ、諦めたのかなと考えたが、事実は違った。

事実は、メールで話し合ってみたところ、「お互いのアドレスを消そう」といわれたそうだ。
そりゃ、本当に九州に居るからには、九州−奈良はあまりにも遠い距離だ。

会えないのは必至だ。

そんなに遠くなってもナミはタケルを愛していた。好きでいた。
タケルは愛されていた・・・うらやましく思う。

そして、チャンスにも思っていた・・・。

タケルさえいなければ、この別れはなかった。

タケル亡き今・・・

俺は今更、関係の修復を期待した。

俺は再び（？）恋人関係になろうと告白することを決意していた。

ナミは流石に悪く思っているからなのか、
俺の事が嫌いなのかわからないが、迷っていた。

「甘えたいような気もするけど、あかん気がするし。でもこのまま甘えてしまいたい自分もいるし」
彼女はそういっていた。

俺は甘えてくれてかまわないと心の底から思っていた。
今なら上手くやれる気がする。
必要以上に身体を求めたりしない気がする。
彼女を大事にしてやれる気がする。
失ったから気付いた大切さを活かせる気がする。

ただ、甘えの種類にもよる。
「こいつ（俺）は何やっても許してくれるから楽だぜ！」
とか「また二股しても結局は許してくれるよね！」とか、
こんな甘えられ方だけはしたくなかった。

俺は素直にそう告げた。

「もう二度と二股なんてかけない。」って約束してくれと話した。

ナミは「絶対しないけどホンマに甘えていいの・・・？」と言う
内容を送ってきた。

俺はしつこいくらい、もう二度と裏切らないでくれと言う話をした。
「それを約束してくれるなら許す。」と言う形でだが。

彼女はメールでも電話でも約束してくれた。

昨日、「誓えない」と言われたこの約束を、今度は誓ってくれた。
会って話したわけではないが、強い意志が読み取れた。

今までのナミにはなかったものだと俺は感じた。

誓えなかった約束を誓ってくれた。
関係が大きく進歩したような気がした。
もっともっと愛される男になろう。
そう感じた長い一日だった。